チカラの技術

電子工作やプログラミング

エレキジャックフォーラム 2012 レポ

お久しぶりです。
この数ヶ月は英語の勉強を主に行っているのですが
そろそろ英文データシートにチャレンジして電子工作を再開できたらと思っています。

また、ハンドルネームをアシッドからヌル夫に変更しました。
秋月300円液晶動画で再生時のnullnull感を褒めてもらったのでハンドルネームにしちゃいました。
ヌル夫が呼びにくかったらヌルとかでもいいんで適当に呼んでください。



4月14日(土)にエレキジャックフォーラムに行ってきたので、

今日はそのレポをします。

○エレキジャックフォーラムとは
エレキジャックフォーラムは電子工作を楽しむホビイストやエンジニアの為の作品、
製品の展示会です。

個人の出展物もたくさん並んでいるのでニコニコ技術部の勉強会と似ている雰囲気ですが、
最大の違いは企業による出展やトークショーが催されている事です。
企業の出展と言っても、ホビイスト向けなので個人購入できる価格の製品や、ロボットのデモなど
非常に面白い企業ばかりでした。

それらも含めて以下、感想を述べたいと思います。


出展者:個人,学生

れすぽん氏によるパターンペイント基板

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説明は不要ですねw
もちろん機能する基板として設計されており、使用用途はFPGAの評価ボードです。
ニコニコ動画に非常にクオリティの高い動画を投稿されているのでリンクしておきます。
イメージ 2

(画像のクリックで動画にジャンプ)

この動画だけを見ると萌え絵基板という点だけに注目してしまいますが
トークセッションや同氏の技術同人誌「Nice board」(ネーミングww)を読むと
この基板の開発当初の目的は個人で手軽に基板を自作できるように
部品実装面を片面に抑えてエッジングの省力化を目指した結果、
裏面のパターン面に高い自由度が出来たとの事で
そこで絵を描いてみようということになったそうです。

実際にこの基板を個人に作ってもらう際は下記のように絵を描いていた面はシール基板が使われます。
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非常に綺麗な配線ですね。配置が考え尽されています。

その他様々なノウハウと工夫がある事を知り、
これはただのネタ基板なんてチャチなものじゃ断じてねぇ(ry)と思いました。


千葉工業大学 電子工学研究会によるMINTIA電子工作品
ニコニコ技術部にもMINTIAへの実装に情熱を燃やす方が多く居ますが
こちらも相当のつわものです。

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ARMマイコンを使用したMINTIAディスプレイと電光掲示板。

イメージ 13
解説プレート

極限まで薄い基板と表面実装部品,そしてフレキシブルケーブル。
無駄な隙間など全くありません、どこまでも本気です。
カッケェ。
MINTIA自作派の方々の作品は薄さへの執念のようなものを感じます。

mbed開発環境でコンパイルしたバイナリをLPCXpresso経由で書き込んでいるそうです。
ライブラリの活用で開発が効率化できたとのことです。
LPCマイコン単体にもmbedのバイナリが使えるとは知りませんでした。
興味深い!


出展者:企業

RSオンラインによる無料の回路CADと名刺サイズの低コストPC

●DesignSpark PCB
RSオンラインは企業向けに電子部品の通信販売を行っている企業で本社はイギリスにあります。
一見ホビイストからは遠い企業のようにも思えますが、今回は非常にインパクトの大きい展示していました。
それが個人でも利用できる無料回路CAD「DesignSpark PCB」です。

イメージ 4
画像をクリックするとHPにジャンプします。

このソフトは無料にもかかわらず、下記のように驚くほど多機能かつ高機能です。
1.サイズ,レイヤ数に制限なし
2.自動配線機能を実装。
3.Gerberファイルや部品表など様々なフォーマットに対応
4.3Dレンダリング機能を持つ上、google sketchup等のCADソフトと連携してメカトロの設計支援も行える。
5.LTspise等の回路シュミレータとも連携可能。


あまりに高機能なのに驚いてRSのスタッフの方に
「なんでこんなに高機能の回路CADを無料で出しているんですか?」と聞いたところ
「基板設計から電子工作の裾野を広げるというコンセプトです。」との返答でした。

思うに、表面実装時代になってしまった現在において
基板設計は初級者でさえ必要になってくる基礎技術です。
その敷居が高いことは業界全体の衰退を招きかねないと思うので、
そこに投資されるRSさんは将来をしっかり見ておられるのだなと感じました。

とにかく僕もこのソフトで何かを設計したいと思います。

Raspberry Pi
前から話題になっていた名刺サイズの超小型プログラマブルPCですが
RSから購入できるようになるようです。  
イメージ 5
クリックすると詳細のHPに飛びます。

今回の展示ではLinuxOSである「Debian」をインストールした状態でデモをされていました。
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ブラウザ経由でインターネットを見ています。少しレスポンスは遅いですが
これで21.6ポンド(約2800円)だと考えると色々な用途に使えそうです。(周辺機器別)

ここで展示されたデモ機は世界で10台しかまだ無いもので、
これから量産,販売を開始するそうです。
既に2万件以上の予約が殺到していて入手までは半年以上かかる見通しとの事です。
   
   このサイズと価格はインパクトがありますね。

テキサスインスツルメンツによるマイコン展示

テキサスインスツルメンツマイコンも手がけており今回はその展示をしていました。

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MSP430に関して面白い話が聞けたので記しておきます。
Ti「MSP430は低消費電力が売りのマイコンで、スマートメータなどの用途をターゲットにしています。」
俺「16bitマイコンに珍しく、ADなどのペリフェラルも16bitと高精度なものを出されていますよね。」
Ti「特にこの製品は電力計のためにADが3つ搭載されていて、電圧,電流,電流を計測できます」
俺「なんで電流に2ch必要なんですか?」
Ti「それは電流の入力と出力が一致しているか確認する為です。
平たく言うと電気が盗まれていないかをチェックします。」
俺「へー!」
Ti「中南東アジアではこのような機能の需要が多いので開発しました」

日本に居るだけでは分からないニーズがあるのだなと感心しました。


月電子通商による展示販売


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 mbedのLPC11U24が販売されてました。

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恐ろしい程安い値段で売られていたジャンクパーツ。
φ3のLEDが1束(20個以上)で10円。10束買いましたw


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ジャンク福袋。ズッシリ来ます!



出展者:独立行政法人

産業技術総合研究所 梶田氏によるトークセッション

2速歩行ロボット及び女子型ロボットの最先端である「HRP-4」の開発を担当された
梶田氏が研究と今後の展望を解説されました。

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HRP-4。体格,体重,歩行動作が人間に非常に近い。

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実用の第1段階としてエンターティメント用途に用いられている。
ていうかこれ中の人に絶対ニコ厨い(ry)

セッションの内容で個人的に興味深かった点を記録します。

○HRP-4の頭部は元々人間に似せるつもりは無かった。
特に梶田氏はロボットのメタリックなデザインを推したそうです。
しかし僕は今の方が好みなので、
これに関しては人間型を推した人にグッジョブと言わざるを得ないw

○HRP-4の開発工数はソフトがはるかに大きい。
ハードの開発は1年。対してソフトは4年経った今でも改良を続けているそうです。

○梶田氏の描く二足歩行ロボットの未来
2025年のロボットは下記のような能力を持つと言っておられました。
●歩行5km/hで10時間稼動
●走行30km/h
●自然不整地の踏破
●体重30kg,可搬重量30kg
●人ごみでの日常的活動補助
ほぼ人間にできる事ができるようになるという事ですね。
梶田氏の考察でさらに興味深かったのは、
これらの能力を達成するためのハード的な技術的要素は既に揃っているとの見解でした。
あとは構造デザインとソフトウェアだけが問題であると仰っていました。
つまり、もっと多くの知能集約や天才の出現が起こればこの予想はさらに早く実現するとの事です。
ワクテカですね!   



こうやって書いてきても紹介したいものの半分も紹介できませんでした。
関西に住んでいる事もあり、エレキジャックフォーラムに来たのは2回目ですが
また行きたいと強く思いました。