チカラの技術

電子工作やプログラミング

LPC1114のDIPを600mil→300milにしてみました。

○LPC1114購入しました。
NXPさんから発売されたLPC1114FNは安価かつ高性能なエントリー用CORTEX-M0マイコンとして
今月のトランジスタ技術の付録にもなったのでご存知の方も多いと思います。

私も興味が有ったので購入してみました。
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日本橋マルツパーツ館で120円と非常に安価に入手できました。
32bitのARMマイコンがここまで安価に購入できるとは凄い時代になりましたね!

しかし、このDIPマイコンは600milサイズのDIPという事で
ネット上でも残念がられている方を散見します。
そして私も未熟ながら「300milなら完璧だったのに」と思ってしまいました。
しかし、『暗いと不平を言うよりも進んで明かりをつけましょう』精神で
300mil化してみる事にしました。


○ぶった切る

まず、CNCフライス【mini-CNC BLACKII】にて加工を行います。
DIPマイコンの足を広げて、塩ビ製の捨て板(CNCの土台に傷がつかないようにする)に
両面テープでセットします。
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さて、ここからが本番です。

まず第一段階としてパッケージを300milサイズに切断します。
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エンドミルの歯が折れないように少しずつ、少しずつ削ります。

キュィイイイイイン!!!!!!
バリバリバリバリバリ
!!!

マイコンが悲鳴をあげます・・・・

 「痛くない・・・痛くない・・・
ビケちゃん・・・
削られていくマイコンを励ましながら作業を続けます・・・・・

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切断できました。
おお、コアを傷つけずにパターンだけ露出させて切断する事ができたじゃないですか!!

しかし、このままでははんだ付けをする事が出来ません。
さらにパターンの上部のみを削ります。
慎重に、薄く・・・薄く・・・・






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予想以上に綺麗にできました!!!


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300milのソケットピンに載せてみました。
いい感じです!


○はんだづけ

さて、ここまでくれば後ははんだ付けをするだけです。
先ほどのソケットピンでは少々実装しにくかったため、
ブレッドボードにヘッダピンを立てて、その上にはんだ付けを行うことにしました。
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まず四隅をはんだ付けして・・・

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全ピンをはんだ付け。
フラックスを使ってみたらはんだが非常に濡れやすくなって作業がしやすかったです。

表面実装部品で言えば0.75mmピッチの部品に配線する程度の難易度です。
僕の不器用な腕でもなんとか配線する事が出来ました。


○配線完了
できました。
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おお、これが私の待ち望んでいた300milのCORTEX-M0のDIPマイコンなのです・・・・

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Arduinoと並べてみました。
バッチリ同サイズです。


○パッケージ化


一応、ピンとマイコンを接続したとはいえ、配線でつながっているだけなので
このままではブレッドボードから付け外ししただけで容易に壊れてしまいます。

そこで配線を樹脂で充填し固める事にしました。
つまり再度のDIPです!
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充填用樹脂のエポキシパテです。
中には粘土のような樹脂が2種類入っていて、これを等量ずつ混ぜ合わせると数時間で硬化します。

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パッケージをパテで包みました。
・・・・・汚い!!!汚すぎる!!

自分の不器用さを呪うばかりです。
しかし、膨れているところを押せば別のところが膨れたりして中々うまくいきません。


そこでまた、CNCの力を借りる事にしました。
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キュィイイイイイン!!!!!!
バリバリバリバリバリ
!!!

全ての面をドリルで削ります。

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できました。
機械はぶれたりしないので綺麗な面が出ます。
僕の適当な盛り付けにも関わらず(ある程度)リカバリしてくれました。
便利ですね!

今、上の写真ではDIPスタイロフォームに刺さっています。
スタイロフォームとはキメの細かい発泡スチロールのようなもので
今回は塗装からピンを保護する為に使用します。

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アクリル塗料のスプレーです。
表面を整えるサフ(サーフェイサー)と塗装用の黒の二つを使用します。

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まず表面の状態を見るためにサフを吹きます。
大丈夫そうですね。

このまま黒を塗ってもいいのですが、それでは何のICか分からなくなるので
ICの型式をCNCで掘り込む事にしました。

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キュィイイイイイン!!!!!!
バリバリバリバリバリ
!!!


今回大活躍ですねー。
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彫れました。
非常に分かりやすい。
そしてもう一度サフを吹いて、黒スプレーで彩色して仕上げます。

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できました。
これを一目見たときにこう思いました。

カロリーメイト チョコレート味』


このボソボソとした質感が・・・・・・
すみません、素人なんで勘弁してください・・・・・・
パテが十分でなかったようです。
次回(!?)はもう少し考えたいと思います。

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元のDIPと比較してみました。半分のサイズになっていますね。
強度もガチガチで当初の目標は達成できたのでとりあえずこれで良しとします!

○動作テスト

作った300milのDIPパッケージを、今月のトラ技を参考に動かして見ます。
書き込みの環境を整えます。

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上の四角いのがUSB→シリアル変換機(プログラム書き込み機)で
左側のは電源供給用パーツです(STM32のデバッガとして使っているものです)

Keilの開発環境でビルドしたHEXファイルを書き込みます。
さっきは300milで書き込み環境を整えてはみたのですが、
配線ミスで壊れたら全然笑えないので
まず600milで書き込みテストをします。
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このサンプルはボタンを押すと光るLEDが変わる『手動Lチカ』プログラムです。
問題なく書き込み,動作する事を確認しました。


そして今回のDIPへ・・・結構緊張します。









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やりました!!
バッチリ動きました!!!


これで(見た目以外)文句なしの300milDIPのLPC1114が完成しました!!
やったー!

これからこのマイコンで遊んでいきたいと思います。
では!!

PS:動画投稿しました。